最終更新日 2024年10月11日 by olfver
「カーボンニュートラルってなに?」
「地球温暖化に興味がある」
「洋上風力発電の仕組みやメリットについて知りたい」
2020年10月、日本政府は2050年までに「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすることを指します。
全体としてゼロにするとは、温室効果ガスを排出する量から、植林などを通して吸収される量や、地中深くに貯留・圧入することなどにより除去される量を差し引いた合計をゼロにすることを意味しています。
温室効果ガスの排出を完全にゼロにすることは現実的ではないので、やむを得ず排出された分については吸収や除去することでプラスマイナスゼロにするということです。
カーボンニュートラルを実現する方法
カーボンニュートラルを実現する方法には、省エネの徹底や植林など様々なアプローチがありますが、再生可能エネルギーの普及も欠かせません。
再生可能エネルギーの普及率は年々高まりを見せていますが、太陽光・水力・地熱・バイオマスなど様々な種類がある再生可能エネルギーの中でも、世界的に急速に広がりを見せているのが風力発電です。
風力発電は、主に欧州を中心に普及が進んでいる発電方式で、再生可能エネルギーの中でも変換効率が高いというメリットがあります。
発電効率とは、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換できた割合のことです。
発電効率が高いほど効率的な発電システムとなりますが、数ある再生可能エネルギーの中で最も発電効率が高いのは水力発電で、約80%を誇ります。
水力発電は、水の位置エネルギーを全て利用することが可能で、水車での損失と発電機での損失しかエネルギーが損失しないため、高い発電効率を実現することが可能です。
風力発電は発電効率が平均で20~40%ほどある
風力発電は、水力発電には及ばないものの、発電効率が平均で20~40%ほどあります。
他の主要な再生可能エネルギーの発電効率は、太陽光発電は約20%、地熱発電は10~20%、バイオマス発電は約20%とされているため、風力発電は再生可能エネルギーの中では比較的効率的な発電方法と言えるでしょう。
また、風力発電は設置場所によって大きく陸上風力発電と洋上風力発電の2種類に分けられるのですが、陸上風力発電は設置場所が限られるという問題があるため、近年は洋上風力発電への注目度が高まっています。
上記の通り、風力発電は主に欧州で普及が進んでいますが、大西洋の縁海である北海は遠浅が沖合40km以上続くという地形的に風力発電所の建設に適した地域となっているため、イギリスを中心に洋上風力発電の導入が加速しています。
一方で、日本国内では風力発電はそこまで普及していないのが現実です。
欧州では偏西風によって安定的に電力を発電できるのですが、日本では海沿いの一部の地域でしか安定して風が吹きません。
そのため、日本国内において風力で安定した電力を得るには、洋上に発電施設を設置する必要がありますが、日本はイギリスと同じ島国ではありますが、遠浅の海域が少ないという特徴があります。
イギリスで普及が進んでいるのは着床式
洋上風力の施設は、大きく着床式と浮体式に分けられるのですが、イギリスで普及が進んでいるのは着床式です。
着床式は海底に基礎を固定し、その上に風車を設置するタイプで、水深が15~30mほどの遠浅の海域に適しています。
欧州で普及が進んでいるのは主に着床式で、20以上前から運用されています。
一方の浮体式は、洋上に浮かべた浮体構造物をワイヤーで海底の基礎に固定し、浮体構造物の上に風車を建設するタイプです。
日本には遠浅の海底が少ないため浮体式を選択する必要があるのですが、浮体式は技術的にもコスト的にも残っているため広く普及するには至っていません。
これが、日本で風力発電が普及していない主な理由となっていますが、浮体式は沖合に設置できるため着床式よりも強い風を利用できるとともに、沿岸から離れた場所に発電施設を設置するため漁業などへの影響が少ないというメリットがあります。
加えて、浮体式は機器を港で組み立てて船で沖合まで運んで建設するのが一般的なので、建設コストが抑えることが可能です。
このようなメリットがあるため、現在は着床式から浮体式への移行する流れが加速しており、イギリスのスコットランド沖では2017年より商用の浮体式風力発電所が稼働しています。
まとめ
また、漁業関係者との利害調整の問題も、日本において洋上風力発電が普及しない理由の一つだったのですが、2019年に再エネ海域利用法(海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)が施行せれたことにより、現在では洋上風力設備を建設しやすい状況になりました。
現在は、環境省が長崎県五島市椛島周辺海域において、経済産業省が福島県沖において浮体式風力初での実証事業を実施しています。
洋上風力発電は、カーボンニュートラルの実現のカギを握る発電システムで、2020年12月に日本政府は2030年までに1,000万kW、2040年までに3000万kW~4500万kWの洋上風力施設を整備するという目標を掲げているため、今後は日本国内においても洋上風力発電は急速に普及していくことが予想されます。
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