プロパンガス(液化石油ガス)の特徴と利用方法

最終更新日 2024年10月11日 by olfver

日本ではエネルギー源としていくつかの種類の化石燃料が使われていますが、都市ガスが整備されていない地域であれば調理や暖房などの目的でプロパンガスが使用されています。
このガスはプロパンと呼ばれる炭化水素の機体で、直鎖状に炭素原子が3つ並んだ分子です。
ただし炭素原子が4個並んだ構造のブタンも含まれているので、厳密にはブタンとプロパンの混合物です。

プロパンガスの特徴

プロパンガスは石油(原油)に含まれていることが多く、石油精製の際に分離・生成することで得られるという特徴があります。
ただしガス田からも得ることが可能で、米国であれば南西部のルイジアナ州やテキサス州のガス田で生産されています。
このガスは常温・常圧では気体ですが、2~8気圧の圧力を加えると常温で液化させることが可能です。
低圧かつ常温でも液化させられるので、持ち運びや保管が容易です。
石油から得られて常温で液体の状態で保管できることから、液化石油ガス(LPガス)とも呼ばれています。

ガス自体に色や臭いはない

ガス自体に色や臭いはありませんが、燃料用に出荷される製品には人がガス漏れを認識できるようにする目的で臭いの成分(メルカブタン)などが混ぜられます。
常温で保存ができることから、都市ガスが整備されていない地方では一般家庭向けの燃料に多く用いられています。
ちなみに天然ガス(メタンガス)を滴下させる場合はマイナス162度以下に冷却する必要があり、輸送・保管する際は極低温状態に保たなければなりません。
プロパンガス(液化石油ガス)は都市ガス(メタンガス)と比較して分子量が大きいことから、空気よりも重いという特徴があります。
このため、ガス漏れを起こした際は部屋の下の方に滞留します。
このため、ガス漏れ検知器は床に近い場所に設置する必要があります。

都市ガスの特徴

これに対してメタンガスを主成分とする都市ガスは空気よりも軽いことから、部屋の上部に滞留するという性質を持ちます。
LPガスは常温かつ数気圧程度の低い気圧でも運搬や保管が可能であることから、都市ガスが整備されていない地域で一般家庭用のエネルギーに多く用いられます。
ボンベの交換作業が必要になりますが、大規模な災害が発生して電気や水道の供給がストップしてもボンベに蓄えられているLPガスが使えるという利点があります。
液化ガスが充填ボンベはタンクローリーやトラックを使用すれば簡単に持ち運ぶことができるので、大規模な自然災害が発生した際は都市ガスよりも短期間で供給網が復旧することが多いようです。
LPガスは自動車の燃料にも使用されていて、“オートガス”と呼ばれることもあります。
自動車用のガソリンと性質がよく似ているので、ガソリンエンジンに改造を加えるだけで使用できます。

LPガスのオクタン価はハイオクガソリンとほぼ同じ

LPガスのオクタン価はハイオクガソリンとほぼ同じですが、排気ガス中に含まれる二酸化炭素の量はガソリンや軽油と比べて少ないという特徴があります。
これに加えてLPガスは多くの地域でガソリンや軽油と比べて税金(地方税)が課されていないため、安価で販売されています。
オートガスはガソリンや軽油よりも安価で購入できるというメリットがあるので、国内では主にタクシーやトラックなどの営業車に用いられます。
ちなみに日本全国に自動車用のLPガス充填施設(オートガススタンド)が設けられていて、ガソリンや軽油などと同じように自動車のタンクに燃料が補給できます。
ただしオートガススタンドの数はガソリンスタンドよりも少ないので、普段とは異なるエリアを走行する場合はガススタンドの場所を把握しておく必要があります。

LPガスエンジン車はガソリンや軽油よりもクリーンな燃料

LPガスエンジン車の排気ガス中には煤や硫黄分といった大気汚染物質がほとんど含まれていないことから、ガソリンや軽油よりもクリーンな燃料といえます。
プロパンガスは一般家庭の燃料や営業車の燃料に使用されていることで知られていますが、事業用途でも多く用いられています。
産業用途としては、石油精製施設の近くに設けられた火力発電所の燃料に使用されるケースが挙げられます。
非常用の発電設備の燃料にもLPガスが使用されることがあり、可搬式または定置式のエンジンの燃料用に用いられます。

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LPガスは長期間にわたり保管しても劣化する心配がない

ちなみに非常用発電設備の燃料にはガソリンや軽油も使用されますが、これらの燃料は長期保存をすると劣化するというデメリットがあります。
これに対してLPガスは長期間にわたり保管しても劣化する心配がないため、非常用の発電設備に適しています。
プロパンガス(LPガス)はメタンガス(天然ガス)とよく似た性質を持つ燃料ですが、常温・低圧状態で液化させることが可能であるというメリットがあります。
このため、身近な場面であれば自動車や一般家庭の燃料で身近なガスといえます。

まとめ

プロパンガスはガソリン・軽油・重油などの他の石油製品と比べると二酸化炭素や大気汚染物質の排出量が少ないことから、今後もクリーンなエネルギー源として重要な役割を果たすことでしょう。